古厩監督からのメッセージ
●「役作り」って何でしょう?
「自分以外の、ある人間になる」ために何をすべきでしょうか?
「俺は役作りなんかしない」とうそぶく名優がいたり、「役柄の痛みを追体験するんだ」とメソッド演技を目指してリサーチでフラフラになったり…。
いろんな俳優がいて、俳優の数だけ役作りの方法はある…なんてあきらめとともに語られてしまうブラックボックスな「役作り」ですが。
名優たちが決して開けてみせないその黒い箱の中には、実は全ての名優たちが共通して行っている作業が入っています。
それは演じる役Xを求める簡単な方程式です。
@+A+B=X
自分の中で役柄の持つ3つの要素をハッキリ決めると、演じる役Xがごく自然に立ち現れます。そこには無理がありません。
役作りには正解があるのです。変身ポーズには正解があるといいますか…。
みなさんが、いま、演じることを楽しめてないとしたら。それはライダーごっこやプリキュアごっこで変身の仕方がよくわかんない子どもと一緒です。「えーと、手をあげるんだっけ?カードをベルトに入れるんだっけ?」と考えながら遊んでたら、つまらないでしょう。
「変身の仕方はこう!」と自信を持ってわかったら、ごっこ遊びをしている最中、考えたり迷ったりしなくていい。
いまここにいるのは自分なのか、ライダーやプリキュアなのか、それともふたつが溶け合った新しい生き物なのか…。我を忘れて陽が沈むまで楽しめます。
我を忘れて遊ぶ。それが演技の本質で、俳優だけが持つ自由で豊かな時間です。
それは誰にも手出しが出来ないし、みんなその時間を持ちたくて役者になったのでしょう。
そのために、一生使える変身の方法を学びましょう。
●二日間、エチュード中心に行います。
「役作りの方程式」を頭と心の中心に叩き込みながら、できるだけたくさんお芝居の機会を作ります。
自分の中身を決めることが出来るようになると、外側の身体は自由に動くようになります。